ギャラリーの注意点

プリントの耐久性

プリントの耐久性

イルフォードギャラリーは世界的に認められたインクジェットメディアで、プロフェッショナルマーケットに於いて高い評価を得ています。イルフォードの主力商品ブランドとして、マーケットに関連する的確な情報を提供することが大切であると考えます。 プリントの耐久性は業界での論議の一つになっており、何年長持ちするかについて多くの報告がありました。小サイズのプリントについての調査報告がありましたが、それらはプロフェッショナルマーケットの現実的な使用条件と異なる場合がしばしばありました。 インクジェットプリントの寿命を予測するためのISO規格が現在は無いという事実を踏まえ、イルフォードは写真家の実際の使用状況に即した情報の提供が重要であると考えます。

耐久性に影響する要因

インクジェット画像は、インクを受ける受像層をもつメディアに形成されています。インクとメディアの両方が耐久性に関与することを理解することが重要です。以下の事をはじめ、インクジェットプリントの耐久性に影響する要因と条件はたくさんあります。

  • プリントが飾られる場合、光は非常に大きな要因です
  • 湿度と高温は、飾る場合にもアルバムに入れて保存する場合にも影響します
  • 空気汚染やオゾンは、プリントがフレームやラミネート無しで飾られる場合は大きな要因です

プリントの耐久性を規定する場合、画像は通常の条件としてこれら全ての要因にさらされ、画像の寿命(耐久性)とは目に見える劣化が最初に起こった時までとします。

プリントの耐久性はどの様に使用されるかによって異なり、主に以下の三つの場合があります。

  • 保護無しで飾られるプリント
  • 保護されて(ラミネート、フレーム)飾られるプリント
  • アルバムに入ったプリント

Epson Stylus Photo R2400(PX-5500)プリンター、Ultrachrome K3 (PX-P K3) インクでプリント

  • 元の画像
  • 5年後(保護無し)
    典型的なオフィスの条件
  • 20年後(保護無し)
    典型的なオフィスの条件

なぜ耐久性の断定が難しいのか

写真家にとって、プリントした作品が意図した目的(ディスプレーまたは保存)で何年長持ちするか分かっている事はたいへん重要です。既に説明の通りプリント画像の耐久性に影響する要因はたくさんあり、言い換えると耐久性が測定される方法に影響を与える要因がたくさんあります。

要因 1.
インクとメディアの両方が耐久性に影響することは確かであり、市場には無数のプリンターモデルと多くのタイプのインクがあります。結果を出すためには、個々のメディアとプリンターでテストしなければなりません。
要因 2.
様々な異なる方法で耐久性のテストを行う、国際的に認められた機関がいくつもあります。
要因 3.
結果には最終的にプリントが使われたり飾られたりする環境条件が考慮されていなければなりません。

イルフォードの試験方法

1980年代以来、イルフォードは写真業界に於ける画像耐久性の規格を制定するのためのISO技術委員会TC-42ワークグループ5のメンバーで、そのテスト方法の改善に貢献してきました。新しいインクジェットメディアを発売する前に、イルフォードは市販の主なプリンターの多くを用いて厳格なテストを必ず行い、オゾン、光、湿度、温度に対する耐久性を調べます。プロフェッショナルマーケットの性格を考慮し、家庭での使用条件に重きをおいた他の試験機関のテストに比べ、イルフォードはより厳しい光退色テストを行います。写真家にとって、画像の耐久性だけでなくプリントの物理的な堅牢性も大切です。そこでイルフォードはスクラッチ、ひび割れ、層間剥離など一連の物理試験も行います。イルフォードはAtlas Ci-4000塗膜耐光性試験装置とHampdenオゾンチャンバーを用いて、デイライトをシミュレートした試験を行っています。測定は、グレーまたは中間濃度の色のどちらかに劣化が見られ次第直ちに行います。

イルフォードの試験方法

画像はどの位長持ちしますか

イルフォードのメディアは、変退色を防止し画像の耐久性を高めるため、最高の品質と純度の材料を用いて製造されています。 厳格なテスト方法に基づき、イルフォードの研究開発部門は、写真家がプリントする作品と使用するインクのタイプによって参考となる耐久性のガイドラインを作りました。全てのテストにはデイライト相当の光源が使われ、プリントがラミネートされていない点は他の試験機関と同様の条件です。テストはプリントが保護無しに飾られる場合に相当します。

エプソンPX-9000

平均的家庭 225ルクス(12時間) 40±10年
オフィス 450ルクス(12時間) 20±5年
明るいロビー 2000ルクス(12時間) 4±1年
写真アルバム 200年以上

エプソンPX-7500

平均的家庭 225ルクス(12時間) 40±10年
オフィス 450ルクス(12時間) 20±5年
明るいロビー 2000ルクス(12時間) 4±1年
写真アルバム 200年以上

エプソンPX-6500

平均的家庭 225ルクス(12時間) 35±10年
オフィス 450ルクス(12時間) 20±1年
明るいロビー 2000ルクス(12時間) 4±1年
写真アルバム 200年以上

キヤノンIPF5000

平均的家庭 225ルクス(12時間) 50±10年
オフィス 450ルクス(12時間) 25±5年
明るいロビー 2000ルクス(12時間) 6±1年
写真アルバム 200年以上

キヤノンW8400

平均的家庭 225ルクス(12時間) 55±10年
オフィス 450ルクス(12時間) 30±5年
明るいロビー 2000ルクス(12時間) 7±1年
写真アルバム 200年以上

HPZ3100

平均的家庭 225ルクス(12時間) 50±10年
オフィス 450ルクス(12時間) 25±5年
明るいロビー 2000ルクス(12時間) 6±1年
写真アルバム 200年以上

*プリントはそれぞれ記載された照度で1日12時間照射されています。
*テストには全てメーカー純正インクが使われています。

プリント画質の問題

イルフォードギャラリーは、今日の写真画質プリンターの要求を満たすように設計されています。これらの製品は、推奨された環境と条件でプリンターが正しく設定されていれば、ブロンジングや凝集ムラ(以下の説明参照)に悩まされる事はありません。しかし、もしそのような問題が起きた場合は、以下の説明を役立ててください。

問題 1.  ブロンジング(Bronzing)

これはブロンジング(Bronzing)として知られています。この場合、プリントの際に黒インクの量を減らす事により、この現象を最小限または無くす事ができます。一般的に、アドビフォトショップの様な画像処理ソフトで行う事ができます。ブロンジングは、シアン、マゼンタ、ブラック、またはイエローのインクが多すぎてペーパーが吸収しきれない場合、表面に残り成分が乾いたフィルム状の表面を形成するために起こります。

問題 2.  凝集ムラ(Coalescence)

これは凝集ムラ(Coalescence)として知られています。この場合プリンターのスピードを遅くする事で最小限または無くす事ができます。通常はプリンターの設定を高画質モードに変えてスピードを落とす事ができます。プリンターによってはフィルムのモードにすることで、スピードを落す事ができます。凝集ムラは、インクが噴出する速さよりペーパーが吸収する速さが遅いために発生します。

問題 3.  マッティング(Matting)

これはマッティング(Matting)として知られています。ブラックインクの量を減らす事により、最小限または無くす事ができます。一般的にアドビフォトショップのような画像処理ソフトで行う事ができます。マッティングはインクが受像層に十分入り込まない場合に起こります。

目的に合った用紙を選択

一般的にインクジェット写真用紙には三つのタイプがあり、それらはポーラス型(ナノポーラス、マイクロポーラス、空隙型とも呼ばれる)、膨潤型、キャストコート紙です。それぞれ製造方法が異なり、性能も違いがあります。以下の図は三つのタイプの用紙の断面図で、その下に違いを説明しています。

タイプ  ポーラス型

 

イルフォード ギャラリー プレステージシリーズの「ゴールドファイバーシルク」・「ゴールドモノシルク」・「スムースグロス」・「スムースパール」は、ナノポーラス型の写真用紙です。

利点

  • 速乾性
  • 気をつければプリント直後に取り扱う事ができる
  • 高速でプリントできる
  • 厚手で本物の写真の感触
  • ガラス付フレームやラミネートして飾られた場合、プリントは膨潤型と同じくらい長持ちする

注意

全てのポーラス型メディアは、大気汚染物質によるガス退色の恐れがあります。画像耐久性(変退色)の大きな要因はプリントに使われるインクの耐久性です。プリンターメーカーの指示や注意を守ってください。ガラスカバー付フレームに入れるなどしてプリントを保護する事は、変退色を防ぎ耐久性を高めるのに有効です。

タイプ  膨潤型

イルフォードギャラリー クラシックグロスとクラシックパールは膨潤型のメディアです(日本では販売していません)。

利点

  • 耐光性が良いため、伝統的銀塩カラープリントRA4と同じくらいの画像耐久性があります
  • 銀塩写真と同じRCペーパーベースを使用しているため、本物の写真と同様の感触をもっています
  • 破れや折れに耐性があります
  • インクがベース紙ではなくポリマー層に吸収されるため、画像の光沢が長続きします
  • 透明なポリマー層により、画像が擦り傷から保護されます

注意

インクの吸収速度が遅いため、プリンターの速度を遅く設定する必要があります。このため膨潤型メディアは、日本では現在ほとんど販売されていません。表面のポリマー層は耐水性が低いため、注意して取り扱う必要があります。

タイプ  キャスコート

利点

  • インクがベース紙に吸収されるため、迅速に乾きます
  • インクと受像層との反応が最小限のため、様々なプリンターに幅広く対応できます
  • 大きな粒子(例えば黒インクを作るための顔料)でも紙に吸収されます

注意

耐光性が低いため、画像の耐久性は高くありません。 使われているベース紙のため、本物の写真とは感触が違います。 画像の一部に多くのインクが使用されると(例えば黒の背景)、用紙に波打ちが起こる場合があります。 インクが紙パルプの中に直接吸収されるため、光沢が損なわれる事があります。破れや折れに対して強くありません。

メディアのタイプを見分けるには

用紙のタイプが、ポーラス型か、膨潤型か、キャストコートか、パッケージには殆ど書かれていませんが、判別するのにいくつかの注目すべき点があります。

ナノポーラスペーパー

表面がわずかにべたつく感触があります。

膨潤型ペーパー

厚手の写真の質感があります。坪量がよい指標で殆どが230g/m2以上です。用紙の角を穏やかに折っても、跡が残りません。白紙のペーパーに水を一滴落とすと、直ぐには吸収されずゆっくりと見えなくなります。乾くとペーパーは元のままで跡が残りません。現在日本では殆ど販売されていません。

キャスコートペーパー

見た目と感触が薄手でハガキのような感じです。白紙のペーパーに水を一滴落とすと、直ちに吸収されてペーパーが膨らみます。乾くと普通紙と同様に変形したままです。

ギャラリーのプリント

写真画質のプリントができるプリンターは、今日たくさんあります。しかし、プリントの品質は使用するペーパーの品質によります。もし普通紙に写真をプリントした事があるのでしたら、その結果にがっかりされた事と思います。写真品質のプリントを得るには、230g/m2以上の厚手の写真品質の用紙を使う必要があります。また、プリントが変色したり退色したりしない事もたいへん重要です。ここでは、メディアの種類と違いやプリントの耐久性について掲載しています。