目的に合った用紙を選択

一般的にインクジェット写真用紙には三つのタイプがあり、それらはポーラス型(ナノポーラス、マイクロポーラス、空隙型とも呼ばれる)、膨潤型、キャストコート紙です。それぞれ製造方法が異なり、性能も違いがあります。以下の図は三つのタイプの用紙の断面図で、その下に違いを説明しています。

タイプ  ポーラス型

 

イルフォード ギャラリー プレステージシリーズの「ゴールドファイバーシルク」・「ゴールドモノシルク」・「スムースグロス」・「スムースパール」は、ナノポーラス型の写真用紙です。

利点

  • 速乾性
  • 気をつければプリント直後に取り扱う事ができる
  • 高速でプリントできる
  • 厚手で本物の写真の感触
  • ガラス付フレームやラミネートして飾られた場合、プリントは膨潤型と同じくらい長持ちする

注意

全てのポーラス型メディアは、大気汚染物質によるガス退色の恐れがあります。画像耐久性(変退色)の大きな要因はプリントに使われるインクの耐久性です。プリンターメーカーの指示や注意を守ってください。ガラスカバー付フレームに入れるなどしてプリントを保護する事は、変退色を防ぎ耐久性を高めるのに有効です。

タイプ  膨潤型

イルフォードギャラリー クラシックグロスとクラシックパールは膨潤型のメディアです(日本では販売していません)。

利点

  • 耐光性が良いため、伝統的銀塩カラープリントRA4と同じくらいの画像耐久性があります
  • 銀塩写真と同じRCペーパーベースを使用しているため、本物の写真と同様の感触をもっています
  • 破れや折れに耐性があります
  • インクがベース紙ではなくポリマー層に吸収されるため、画像の光沢が長続きします
  • 透明なポリマー層により、画像が擦り傷から保護されます

注意

インクの吸収速度が遅いため、プリンターの速度を遅く設定する必要があります。このため膨潤型メディアは、日本では現在ほとんど販売されていません。表面のポリマー層は耐水性が低いため、注意して取り扱う必要があります。

タイプ  キャスコート

利点

  • インクがベース紙に吸収されるため、迅速に乾きます
  • インクと受像層との反応が最小限のため、様々なプリンターに幅広く対応できます
  • 大きな粒子(例えば黒インクを作るための顔料)でも紙に吸収されます

注意

耐光性が低いため、画像の耐久性は高くありません。 使われているベース紙のため、本物の写真とは感触が違います。 画像の一部に多くのインクが使用されると(例えば黒の背景)、用紙に波打ちが起こる場合があります。 インクが紙パルプの中に直接吸収されるため、光沢が損なわれる事があります。破れや折れに対して強くありません。

メディアのタイプを見分けるには

用紙のタイプが、ポーラス型か、膨潤型か、キャストコートか、パッケージには殆ど書かれていませんが、判別するのにいくつかの注目すべき点があります。

ナノポーラスペーパー

表面がわずかにべたつく感触があります。

膨潤型ペーパー

厚手の写真の質感があります。坪量がよい指標で殆どが230g/m2以上です。用紙の角を穏やかに折っても、跡が残りません。白紙のペーパーに水を一滴落とすと、直ぐには吸収されずゆっくりと見えなくなります。乾くとペーパーは元のままで跡が残りません。現在日本では殆ど販売されていません。

キャスコートペーパー

見た目と感触が薄手でハガキのような感じです。白紙のペーパーに水を一滴落とすと、直ちに吸収されてペーパーが膨らみます。乾くと普通紙と同様に変形したままです。